北海道新幹線2016.3新函館北斗開業ウェブサイト

函館商工会議所が所管する新幹線推進団体の活動アーカイブです

‘新函館北斗開業Q&A’ 分野の情報一覧

【質問】新幹線の青函トンネル区間は速度制限がかかり、所要時間が延びることに決まったとの新聞報道がありましたが、どんな影響が考えられますか。

 

【お答え】青函トンネルを含む前後約82kmの区間は、三線軌条による新幹線と在来線との共用走行区間となっており、特に貨物列車との共存に際し様々な安全確保策が必要との見地から、2011年12月、政府・与党確認事項として「青函共用走行区間の最高速度を当面140km/hとする」ことが示され、2012年7月には国交省交通政策審議会に「青函共用走行区間技術検討WG」が設置され協議が進められてきました。

 その結果、今年3月末の第5回WGにおいて「青函共用走行問題に関する当面の方針」が公表され、2015年度北海道新幹線新函館開業時には新幹線の最高速度を在来線と同じ140km/hとすること、2018年度を目途に1日1往復のみ260km/h運転を実現させ、その後も高速走行実現に向けた技術的検討を続けることが示されました。

 このため、新青森・新函館間の新函館開業時の所要時間は、本来の予定から約18分増加して約57分となることが見込まれ、東京・新函館間の場合では、最速約3時間57分(現行の東京・新青森間最速2時間59分+停車1分+57分)となり、新函館駅での乗り継ぎ時間と新函館・函館間の在来線リレー列車(約17分予定)を合わせると、東京・函館間の場合は最速でも4時間20分台を要することとなります。

 2013年4月現在、東京・新青森間には新幹線定期便が上下34便運転されていますが、最速2時間59分で運転されている便はそのうち僅か3便であり、全便の平均所要時間は停車駅数の多さなどから3時間26分であるため、新函館開業時の東京・新函館間の平均所要時間は4時間30分前後、東京・函館間では4時間50分前後を要することが想定されます。

 新幹線には、いわゆる「4時間の壁」という言葉が存在し、東京・函館間は、このままでは新幹線の時間短縮効果が十分に発揮できない状況となるため、函館においてはその影響も想定されます。「4時間の壁」についての詳細は次号で解説します。

【参考】 青函共用走行問題に関する当面の方針(国交省サイト)


Tags:

【質問】先頃、新函館・現函館間のリレー列車のことが盛んに新聞で報じられていましたが、記事を読んだ限りでは未定要素が多いように見受けられ、実際どうなるのかわかりづらいです。

【お答え】リレー列車に関する情報は、2月上旬に鉄道・運輸機構が公表した新幹線駅の概要に続いて地元紙が報じたものですが、JR北海道が行う新函館駅の在来線ホーム等施設整備やリレー列車車両仕様については3月上旬現在、同社として公式発表を行っていないため、実際にどうなるか明らかではありません。(※下記注)

 記事では地元関係者が抱える心配の声も紹介されており、新函館駅についてはピーク需要に対応できるホーム設備の必要性、リレー列車においては座席配列や観光ニーズを踏まえた車両設備が求められていることがわかります。

 函館商工会議所などでつくる新幹線開業対策推進機構では、新函館駅の対面(同面)乗り換えホーム整備やリレー列車の所要時間短縮を要望してきた経緯があることから、本件についても動向を注視しています。特に、リレー列車は新幹線の運行ダイヤに合わせた運行が推測されるため、開業後の新幹線運行ダイヤの制約如何では、せっかく整備された同面乗り換えホームでの接続が図られず、結果的に階段昇降による別ホーム接続を余儀なくされる便が増えかねないなど、新駅設備・構造や運用についての懸念は開業直前の運行ダイヤ公表まで残ることになります。函館市においては、新幹線開業後はリレー列車が旅客輸送の生命線となることと、札幌延伸以降も新函館駅が重要な乗り継ぎ拠点であり続けるということを踏まえ、あくまで利用者利便の確保向上という視点に立ち、当所としても引き続き必要な対応を進めていきたいと考えております。

 

※ 函館商工会議所会報3月号での本稿掲載後、JR北海道では2013/03/21に「函館線五稜郭・渡島大野間電化工事起工式の開催について」を報道発表しました。http://www.jrhokkaido.co.jp/press/2013/130321-3-2.pdf 文書内では以下の2項目についての記載がされています。

(引用)

○ 新函館(仮称)駅の新幹線と在来線の乗り換えについては、新たに在来線駅舎を建設し、新幹線第1ホームと在来線第1ホームをご利用いただく同一平面の乗り継ぎ(別紙参照)を基本として計画してまいります。

○ 新たな在来線駅舎では、函館と札幌・苫小牧・室蘭方面を結ぶ特急列車(スーパー北斗及び北斗)を停車させて道央方面への乗り継ぎを行っていただくよう計画してまいります。また、新函館(仮称)駅と函館駅を結ぶ利便性の高いアクセス電車を新たに導入し、函館駅方面への乗り継ぎを行っていただくよう計画してまいります。

 

▼(写真)北斗市役所に展示されている新函館駅模型

新函館駅在来線(函館山側)


Tags:

【質問】この春から新函館駅と木古内駅の駅舎が相次いで着工されると聞きました。新幹線の工事全体の進捗状況はどのようになっていますか。

201302【お答え】平成25年1月現在の新幹線工事進捗状況(道庁調べ)は、トンネルが97%、明かり部分が91%完成し、軌道及び電気工事も100%発注済となっており、用地取得も残り6%となっています。

 去る1月29日には、国交省より整備新幹線事業費の線区別配分が公表されたところであり、平成25年度は新青森・新函館間に1千億円が確保され、軌道・電気工事が本格化すると共に駅舎や車両基地の建設が進むこととなります。また、新函館・札幌間にも60億円が配分されます。

 新青森・新函館間の総工費については、工事実施計画の変更(予算変更)が1月18日に国交省から認可され、総工費が5,508億円に増額となったことから、平成24年度までの総工費3,352億円を加えた平成25年度までの予算進捗額は4,352億円、進捗率は79.0%となり、残るH26-27年の2年間の残額は1,156億円ということになります。当所としても引き続き関係機関と共に、早期開業に向けた要請等を行って参ります。


Tags:

【質問】函館から、娘と孫がいる青森市へ頻繁に行くため、いつも自由席往復割引きっぷ(5,500円)を使っています。東北新幹線には自由席が無いそうですが、開業後の料金がどうなるのか心配です。

 

【お答え】現在、新青森駅発着の東北新幹線「はやて」「はやぶさ」は、早朝・深夜の一部の便を除き、全席指定席で運行されています。盛岡・新青森間の範囲に限り、自由席料金で「空席の指定席」に座ることが出来る「特定特急券」が販売されていますが、利用者の認知度も低く、例えば始発駅で空席に座っても、後から来たその席の指定券所有客に席を譲ることとなり、混雑時は何度も座席移動を強いられることがあります。通常の自由席車両であれば、早めに駅へ行きホームで整列乗車すれば先着順で着席出来ますが、特定特急券ではそれは出来ません。

 新函館開業時の新幹線運行体制と料金体系は全く決まっていませんが、現在の「はやて」「はやぶさ」の運行形態がそのまま新函館まで延長されることを想定すると、現在の特急「スーパー白鳥」にはある自由席車両が設定されない恐れがあるほか、実際に新青森開業時に起きたように、往復割引きっぷなどの企画商品が廃止されてしまう懸念も残っています。下表は、新幹線開業によって仮に割引商品が廃止され通常料金となってしまった場合の差額と値上がり率を示した表ですが、待望の新幹線が開業した結果、大幅な値上げが行われて利用者の経済的利便が損なわれたということにならないよう、函館商工会議所としても関係機関と協議を行いながら対策を進めて参ります。

 

※本稿掲載後、2013年3月末をもって函館・青森間と函館・弘前間の企画割引切符が廃止され、同4月より新たに「青森・弘前フリーきっぷ」(自由席往復6,800円、指定席往復7,900円)が発売されました。廃止前の商品と比較して、対青森では自由席+1,300円、指定席+200円値上がりし、対弘前では指定席-800円値下がりしています。

■各区間の新幹線新函館開業前後の価格と差額

※1 現在の割引価格はJR北海道企画商品、開業後想定価格のうち特急料金は国交省整備新幹線小委員会資料を引用、運賃はJR東日本幹線運賃表を基準に、新青森・函館間(148.8+17.9km)はJR北海道加算分(片道210円)を算入

※2 特に記載がないものは、往復運賃・通常期指定席特急料金

区間

【現在】割引きっぷ

適用価格

【新幹線開業後】割引設定が

ない場合の想定通常価格

差額(値上がり率)

函館・東京

27,180円

35,280円(往復割引運賃適用)

+8,100円(+ 29.8%)

函館・仙台

22,400円

27,700円

+5,300円(+ 23.7%)

函館・弘前

8,700円

13,620円

+4,920円(+ 56.6%)

函館・青森

7,700円

5,500円(自由席往復)

12,360円

11,340円(特定特急券利用)

+4,660円(+ 60.5%)

+5,840円(+206.2%)


Tags:

【質問】(前回に引き続き)現在は仮称となっている新函館駅の駅名問題に関心があります。全国ではどのような問題があるのでしょうか。

【お答え】前回の「新山口駅」の事例に引き続き、今回は東北新幹線「水沢江刺駅」のケースを紹介します。同駅は1982(昭和57)年の東北新幹線開業から3年後の1985(昭和60)年、地元要望によって駅舎建設費用を地元が負担する「請願駅」として開業し、駅名については、水沢市内に所在する同駅の近くに旧江刺市との境界線があったことや、地元請願駅であること等を背景に「水沢江刺駅」と名付けられました。

 のちの2006(平成18)年に、水沢市・江刺市を含む2市2町1村が合併し「奥州市」が誕生したことで、地元では駅名改称の声が上がり、同年、JR東日本に対し水沢青年会議所が「奥州駅」への改称要望書を提出するなどの動きが起こりました。

 その後は具体的な展開がないまま、同駅開業25周年を控えた2009年(平成21)12月の奥州市議会第4回定例会において、駅名改称についての質疑が行われています。それによると、駅名改称に対する市長の見解を求めた議員の質問に対して、当時の市長は「JR東日本と懇談した際、運行管理システムの改修や看板などのハードの改修に多額の経費が必要となって、地元自治体がその費用負担をしなければならないとのことだった」と述べ、多額の地元負担が課題の一つであることを明らかにしました。また、新幹線延伸開業時など、駅名改称の契機を逃さず運動すべきではとの質問に対して市長は「隣町(平泉町)との合併推進を掲げている立場のため、合併が実現した場合の市の名前、駅名はどうしたらいいのかということが脳裏にあり、できれば合併を実現した暁に駅名問題も新市の名前も一気に解決したい」と答弁しています。

 このように、営業中の駅の名を改称するには「多額な費用の地元負担」と「今後の自治体合併等の方向性」が大きな課題であり、そのために自治体合併後も旧自治体名を称する新幹線駅が多数残っています(「古川」宮城県大崎市、「浦佐」新潟県南魚沼市、「徳山」山口県周南市、「厚狭」山口県山陽小野田市)。つまり、逆に言えば、新函館など新たに出来る駅の名前は、その二点を十分に考慮した上で決定されることが望ましいといえます。

(参考文献:奥州市議会議事録)


Tags:

【質問】(前回に引き続き)現在は仮称となっている新函館駅の駅名問題に関心があります。全国ではどのような問題があるのでしょうか。

【お答え】駅名と自治体名を巡る問題として著名な、山陽新幹線「新山口駅」のケースを見てみます。同駅の前身「小郡駅」は、明治22年開村の「小郡村」(明治34年小郡町に昇格)の駅として明治33年に開業し、昭和50年3月には新幹線「小郡駅」も開業しました。

 小郡町は県庁所在地である山口市の南西約13kmに位置し、戦中・戦後にも山口市との合併・離脱がなされた歴史があったことを背景に、平成以降、自治体合併への具体的な動きが経済界主導で進み、平成14年4月には山口・小郡両商工会議所の合併が実現しました。

 また、平成5年に東京・博多間の運行となった新幹線「のぞみ」号の小郡駅停車を求める運動も県議会や経済界を中心に活発化しており、平成15年1月と2月に小郡町など2市4町連名で行われたJR西日本への要望活動に対し同社から4月、営業戦略上「のぞみ」号停車実現のためには「小郡駅」から「新山口駅」への駅名改称が必要との見解が山口県に示されました。僅か2週間程度しかない回答期限のなかで関係自治体ではこれを了承し、同社が提示した駅名改称費用4億2,880万円の半額を県と関係自治体が負担する形で、平成15年10月、新幹線「のぞみ」号停車実現と共に、「小郡町」に「新山口駅」が誕生しました。

 その後、平成16年11月には山口市・小郡町など1市4町による合併協議会が設置され、平成17年10月に新設合併による「山口市」が誕生し、「新山口駅」は名実ともに県都山口市の新幹線駅となりました。

 平成15年当時、JR西日本は県に対し「首都圏・関西圏から見てインパクトがあり、山口県のイメージが伝わりやすい駅名に変更するという、そういう地元からの意向があれば、『のぞみ』の小郡駅停車は現在難航しているJR東海との調整交渉もスムーズにいき、停車実現の可能性が出てくるし、そういう意味で駅名変更は大きな判断材料になっている」と説明しています。

 このように「新山口駅」改称は、県や山口市、経済界などの広域的期待と、山口市合併へ向けたシナリオを背景としつつ、実際にはJRが「駅名改称はあくまで地元要望を踏まえ行う」という手順も含め主導しており、小郡町議会や町民の駅名改称是非の論議は、結果的に考慮・反映されませんでした。新函館駅の名称問題についても、地元論議で不毛な時間を要しないよう、注意する必要があると言えます。

(参考文献:旧小郡町議会、旧山口市議会、山口県議会議事録)


Tags:

【質問】現在は仮称となっている新函館駅の駅名問題に関心があります。正式名称はいつ頃、どのように決定されるのでしょうか。また、全国ではどのような問題があるのでしょうか。

 
【お答え】新幹線駅の名称は、開業の概ね一年から一年半前までに、営業主体であるJRが決めることとなっています。新幹線新駅の名称をめぐる議論は全国どの地域でも必ず起こり、意見の取りまとめ方法についてもルールはないため、過去の事例をみても各種の団体がそれぞれの立場でJRに要望を行うなどしたのち、最終的なJRの判断を待つこととなります。
 全国の新幹線駅を見ると、新函館駅のように、新幹線駅の所在場所と代表都市の中心部・中心駅が離れている場合に最も多く用いられている駅名は「新○○」で、新幹線駅では18例あります。さらに、広域的な観点により、開業時点から駅の所在自治体名と異なる駅名を命名するケース(くりこま高原など)、また、命名後にJR営業上の理由や自治体合併のために駅名や自治体名が変わったケースなどもあり、地域ごとに状況は様々です(下表参照)。それぞれのケースについては次号以降で紹介します。


Tags:

【質問】先日新聞等で、北海道新幹線開業後の東京・札幌間の想定運賃が21,000円と報道されていましたが、函館ではどうなのでしょうか。

【お答え】この運賃は、去る2月27日に開催された国交省交通政策審議会第4回整備新幹線小委員会配付資料において、国交省が初めて試算・公表したものとして報じられました。この資料による函館関係分は下記の通りです。

 

■東京駅・函館駅間の場合
【現在】新幹線はやて・特急スーパー白鳥乗継
  通常期片道運賃19,140円 (運賃計算キロ893.7km運賃11,550円、指定席特急料金7,590円)

【新函館開業後】新幹線・在来線リレー列車を乗継
  通常期片道運賃18,590円 (営業キロ880.4km運賃11,550円、指定席特急料金7,040円)

現在と比較した場合では新幹線開業後は若干安くなることが想定されます。また、新函館駅や五稜郭駅利用の場合だと、上記運賃から更に310円安くなると見込まれます。

 なお、正規運賃はJRが定めるため、国交省では現時点での目安の試算だとしていますが、実際の運賃決定に関しては下記のようなことが懸念され、利用者として注意深く見守る必要があると考えられます。

  1. 昨年3月に開業した九州新幹線の特急料金は、博多駅を境に東海道新幹線などと距離通算されず割高に設定されており、北海道新幹線においても東北新幹線と特急料金が通算されない恐れがあること
  2. 青函トンネル共用区間82kmに在来線と同じ速度制限がかかり、時間短縮効果が乏しい状況にもかかわらず、在来線特急よりも割高な新幹線特急料金が設定されてしまう恐れがあること
  3. H22年新青森開業の際には、それまで青森で販売されていた東京往復などの割引企画切符が一部廃止されており、そうした企画切符が新函館開業の際にも販売終了されてしまう恐れがあること

Tags: