北海道新幹線2016.3新函館北斗開業ウェブサイト

函館商工会議所が所管する新幹線推進団体の活動アーカイブです

【質問】(前回に引き続き)現在は仮称となっている新函館駅の駅名問題に関心があります。全国ではどのような問題があるのでしょうか。

【お答え】前回の「新山口駅」の事例に引き続き、今回は東北新幹線「水沢江刺駅」のケースを紹介します。同駅は1982(昭和57)年の東北新幹線開業から3年後の1985(昭和60)年、地元要望によって駅舎建設費用を地元が負担する「請願駅」として開業し、駅名については、水沢市内に所在する同駅の近くに旧江刺市との境界線があったことや、地元請願駅であること等を背景に「水沢江刺駅」と名付けられました。

 のちの2006(平成18)年に、水沢市・江刺市を含む2市2町1村が合併し「奥州市」が誕生したことで、地元では駅名改称の声が上がり、同年、JR東日本に対し水沢青年会議所が「奥州駅」への改称要望書を提出するなどの動きが起こりました。

 その後は具体的な展開がないまま、同駅開業25周年を控えた2009年(平成21)12月の奥州市議会第4回定例会において、駅名改称についての質疑が行われています。それによると、駅名改称に対する市長の見解を求めた議員の質問に対して、当時の市長は「JR東日本と懇談した際、運行管理システムの改修や看板などのハードの改修に多額の経費が必要となって、地元自治体がその費用負担をしなければならないとのことだった」と述べ、多額の地元負担が課題の一つであることを明らかにしました。また、新幹線延伸開業時など、駅名改称の契機を逃さず運動すべきではとの質問に対して市長は「隣町(平泉町)との合併推進を掲げている立場のため、合併が実現した場合の市の名前、駅名はどうしたらいいのかということが脳裏にあり、できれば合併を実現した暁に駅名問題も新市の名前も一気に解決したい」と答弁しています。

 このように、営業中の駅の名を改称するには「多額な費用の地元負担」と「今後の自治体合併等の方向性」が大きな課題であり、そのために自治体合併後も旧自治体名を称する新幹線駅が多数残っています(「古川」宮城県大崎市、「浦佐」新潟県南魚沼市、「徳山」山口県周南市、「厚狭」山口県山陽小野田市)。つまり、逆に言えば、新函館など新たに出来る駅の名前は、その二点を十分に考慮した上で決定されることが望ましいといえます。

(参考文献:奥州市議会議事録)


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