北海道新幹線2016.3新函館北斗開業ウェブサイト

函館商工会議所が所管する新幹線推進団体の活動アーカイブです

‘新函館北斗開業Q&A’ 分野の情報一覧

2011-10-13

【Q&A】28.新函館駅の駐車場台数が心配

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【質問】先日新聞で新函館駅前の整備計画が紹介されていましたが、駐車場の収容台数が約580台とあり、これでは少ないような気がします。溢れて駐められないことも心配で、なんとかならないのでしょうか。

【お答え】新幹線開業後、駐車場利用者の大半が函館市民となることが見込まれる新函館駅の駐車場の整備主体者は北斗市であり、9月に北海道新聞が報じた記事によれば、その台数は約580台となっています。

 地元紙等によれば、もともと北斗市では計約1,100台の駐車場整備を構想し、2009年には北口に200台分の駐車場設置を表明しましたが、同年北斗市議会が北口側整備の見直しを要求、財政負担など様々な課題を踏まえ検討調整した結果として南口580台、北口は設置しないという今回の計画が策定されています。ただ、多客期などは近隣の市有地等の開放も検討しているとのことから、溢れて駐められないという事態は避けられるものと思われます。

 参考までに各地の交通拠点と駐車場の収容台数を記載しますが、費用対効果のうえでも収容能力をどう設定するかは難しい問題です。特に新函館・現函館間は鉄道アクセスの充実化が期待されているところでもあり、市街地と新幹線駅との間のアクセスについては、それぞれの交通手段の特性を踏まえ、函館市民が賢く選択し利用していくことが求められます。


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【質問】先日新聞で、国管理空港である函館空港は赤字運営、と報道されていました。新幹線が来れば空港運営は更に厳しくなることが予想され、北斗市に駅が出来る新幹線より、函館市内にある函館空港対策のほうが重要ではないでしょうか。

 
【お答え】報道に関係する収支資料は国土交通省webサイトで公開されており(http://www.mlit.go.jp/koku/koku_fr5_000011.html)これによれば、収入要素と支出要素をどの範囲まで含めるかによって4パターンの試算が存在し、更に国管理部分ではないターミナルビル運営等収支を合算するかしないかなどでも、収支は全く異なる結果となります。国管理空港は国策と密接に関係して整備されてきた背景があり、単に赤字だといって地方に負担を転嫁したり、廃止に直結したりするというものでもありません。しかしながら、国の今後の方針には注視していく必要があり、将来にわたって空港を安定的に維持していくために地元として何が出来るか、新幹線開業対策の一環としてもあわせて考えていく必要があります。

 新幹線開業によって航空が受ける影響の例として、旅客競合による路線廃止や機材の減便・小型化があり、これによって貨物積載量が減少すれば地元産業の物流にも影響が生じるほか、空港運営においては減便・小型化によって重量毎に定められている滑走路着陸料収入が減少するなども想定されます。

 反対に、新幹線との競争は航空運賃の値下げをもたらし、運行ダイヤの改善等とあわせ利用者利便が高まることは利点に挙げられます。新函館駅よりも市街地に近い函館空港はもともと相応の利便性を有しているといえ、新幹線よりも空港対策が重要だと特にこだわらずとも、新幹線・航空の両事業者がそれぞれの利点を活かし、利用者利便に基づいたサービスを着実に展開していくことで、新幹線・航空ともに新たな旅客を誘発することにもなり、空港運営におけるデメリットを最小限に抑えることも出来るものと考えられます。


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【質問】周りでは「新幹線が来れば地域もしばらく潤う」という楽観論の人と、「新幹線が来ても何も良いことはない」という悲観論の人がそれぞれ主張を展開していて、一体どうなるのか頭が混乱しています。

 
【お答え】4年後の新函館開業へ向け、市民の関心が高まってきているということの表れだと思われますが、将来に関する話には「絶対にこうだ」というものはありません。商工会議所に事務局を置く新幹線開業対策機構では今年2月、青森から様々な立場の関係者をお招きして「新幹線開業対策塾」を開催したところですが、講師の方々の経験と反省に基づいた様々なアドバイスのなかで特に「市民がしてはいけないこと」として強調されていたのが「ワイドショー的な評論合戦を繰り返さないこと」でした。「開業直前なのに地元が盛り上がっていない」という論評のように「何をもって盛り上がったとするのか」をそもそも定義できない事象についてネガティブな発言を繰り返すことは、地域に何も産み出さないばかりでなく、開業対策などの街づくり事業にブレーキをかけてしまうことにもなるとの指摘もあり、私たちはこうした反省を踏まえていく必要があると思われます。

 2015年新函館開業時の全国の生産年齢以下人口推計は、1964年東海道新幹線開業時の生産年齢以下人口よりも少なく(グラフ参照)、経済活動の水準や街づくりは厳しい状況下にあるという前提で私たちは開業対策を進めなくてはならず、新幹線建設促進に取り組んできた先人達の努力を無にしないためにも、様々な意見に振り回されずに「自分はどう行動するか」ということが大切といえます。当機構が策定し取り組んでいるアクションプランも、その考え方を整理するための一助になるかと思いますので、どうぞご一読下さい。


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【質問】3月に開業した九州新幹線はずいぶん駅の間隔が短かく、それに比べたら新函館・函館間は新幹線を引いてもよいくらいの距離だと思うのですが。

【お答え】3月12日に九州新幹線が開業し、4月下旬に東北新幹線が復旧したことで、新青森から鹿児島中央まで新幹線がつながりました。ご指摘の通り、新幹線の駅設置には明確な基準はなく、様々な地元事情によって整備計画に定められ建設されていますが、いわゆる整備新幹線として昭和63年以降に整備された区間は、建設費に地元負担が生じるようになったことも影響し、駅の数も多くなっているのが実情です。具体的には、東海道新幹線は建設当初の駅間平均が43kmだったのに対し、北陸新幹線(高崎・長野間)や九州新幹線の駅間平均は23kmと、半分程度にまでなっています。新幹線の持ち味である所要時間の短さと停車駅が増えることは相反する課題であり、九州新幹線の運行ダイヤの決定に至るまでは自治体とJRの間で様々な経緯があったと報道されています。

 建設中の路線を含め、新幹線の駅間を短い順にまとめたのが次の表です。東京都内を除くと、最も短い区間は僅か5.7kmしかなく、ご指摘の新函館・函館間よりも短い区間が11もあることがわかります。

 これは逆に見ると、新函館・函館間は、九州新幹線の駅間平均23kmにも近く、新幹線の駅間に匹敵する距離を有しているということでもあり、北海道新幹線開業後の時間短縮効果を滅失させないためにも、同区間には円滑な鉄道アクセスが将来にわたって求められているといえます。


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【質問】東日本震災の影響で、北海道新幹線の2015年度新函館開業に遅れが出てしまうのではと心配です。

【お答え】ご心配はごもっともかと思われますが、震災の復興に伴う財源をどう確保するかは、国での議論が始まったばかりであり、現段階で新幹線関係予算に影響が生じるかどうかは、全く未定の状況です。

 ご心配を払拭するためには、もういちど新幹線の建設財源についておさらいする必要があります。新幹線建設費は総額のうち国が2/3、建設地の地方公共団体が1/3の割合で負担するというのは知られていますが、国費の内訳はあまり知られていません。現在、国費は(a)国の一般会計からの補助金、(b)既設新幹線譲渡収入の一部、(c)借入金等(既設新幹線譲渡収入の前倒し活用)の3区分からなり、平成22年度は(a)706億、(b)724億、(c)303億で計1,733億円が支出されました。(地方負担を加えたH22総額は2,600億円)

 では、これら予算を別の目的に充てられるかといえば、使途変更は簡単にはいかない仕組みとなっています。例えば(b)と(c)の財源は、平成3年時点での既設新幹線(東海道・山陽・東北・上越)の売却益であり、平成29年9月までは新幹線建設財源として充てることが決められているものであるため、万が一影響が及ぶとしても、(1)の一般会計補助金の部分に限られるという見方が出来ます。国の一般会計予算は今年度92兆円であり、そのうち新幹線建設補助金706億円は僅か0.08%ですから、この予算が別の目的に充てられるとは考えにくいと言えるのです。

 こうした皆様のご心配も踏まえ、当所では引き続き、2015年度内の一刻も早い完成を目指し、新幹線開業にむけた要望活動やまちづくりの推進を行って参りますので、皆様方のご支援とご協力を重ねてお願い申しあげます。


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【質問】(前回に引き続き)新函館駅と函館駅の間に必要なリレー列車の運行上の課題は何かありますか。

【お答え】前回に引き続き、新幹線に接続する在来線リレー列車の運行事例として、今回は山陽新幹線新山口駅に接続するリレー列車について記載します。

 山口県中部に位置する新山口駅(山口市)は、元は小郡駅(旧小郡町)といい、2003年に新幹線のぞみ号の停車駅になるのと同時に改称され、それを機に海岸側に約27km離れた宇部線(沿線人口18万人)の宇部新川駅(宇部市)を結ぶ快速「のぞみリレー」が3往復、内陸側に約13km離れた山口線(沿線人口14万人)の山口駅(山口市)には快速「やまぐちライナー」が6往復、それぞれ運行を開始しました。

 2つのリレー列車は新山口駅とのアクセス需要の掘り起こしを目指し運行されていましたが、わずか6年後の2009年には「やまぐちライナー」「のぞみリレー」ともに快速列車としては廃止され、各駅停車に格下げされました。これらの運行体制縮小の背景には、「やまぐちライナー」については運行距離が短く利用が低迷したこと、「のぞみリレー」については他の路線(山陽本線)や交通機関(宇部市営特急バス)との競合がみられたことなどが指摘されているほか、快速運転を廃止した理由として「単線区間での快速運行はすれ違う側の列車の待ち時間が多く、他の列車の所要時間に影響する」(2008.12.26山口新聞web記事)ことなども挙げられています。

 前回・今回の事例とも、沿線人口や交通環境、都市の性格など新函館・現函館間の状況とは大きく異なりますが、リレー列車の運行という点で明確なのは、拠点間の速達性と途中駅利用者の利便性の両立が重要ということです。商工会議所に事務局を置く新幹線開業対策機構と沿線自治体では昨年と今年、札幌圏で運行されている列車の実績に順じて新函館・現函館間を20分以内で運行できるリレー列車の整備をJR北海道に要望しており、その実現が期待されているところです。


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【質問】(前回に引き続き)新函館駅と函館駅の間に必要なリレー列車の運行上の課題は何かありますか。

【お答え】前回は、リレー列車など2次交通の利便維持確保が必要な背景等について事例紹介しましたが、今回と次回は具体的に、新幹線に接続する在来線リレー列車の運行事例を紹介します。

 まず、長野新幹線に長野駅で接続し、長野以北の信越本線を日本海に面した直江津駅(新潟県上越市)まで結ぶ普通列車「妙高」号についてです。この列車は1997年の長野新幹線開業時に、それまで長野駅以北まで運行されていた特急「あさま」号を引き継ぐ形で、快速列車「信越リレー妙高」号として、長野新幹線の出発・到着時刻にあわせ1日8往復の運行が開始されました。特急料金が不要な快速列車でありながら、「あさま」号で使用されていた特急型6両編成の車両が使われるなど、長野以北の利用客にとっては新幹線開業前のサービスレベルが維持されました。

 しかしながらその後、利用実態に合わせて段階的に運行本数が見直され、ほぼ全便が快速列車から各駅停車に変更されるなどして、現在は5往復が普通列車として運行されています。「妙高」号の運行体制縮小の背景としては、同じ1997年に開業した「北越急行ほくほく線」を経由し、直江津駅から上越新幹線へ接続して首都圏方面への大幅な時間短縮を実現した特急列車が運行開始されたこと、長野・直江津間75kmの沿線が山間部で人口も約27万人(2市2町)程度であり、人口減少が利用者数の減少に影響していることなどが挙げられます。(次回続く)


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【質問】(前回に引き続き)新函館駅と函館駅の間に必要なリレー列車の運行上の課題は何かありますか。

【お答え】前回は、新幹線を運行する事業者がリレー列車を一体的に運行することが最も望ましいとしましたが、このことを示す具体例を2つ紹介します。

 まず青森県三沢市のケースです。三沢市は盛岡・青森間沿線においては八戸市に次ぐ人口4万2千人の都市で、三沢駅は八戸駅から21km北に位置しており、12月の東北新幹線新青森開業では、JRから第三セクターの青い森鉄道に経営分離されました。これにより八戸駅での新幹線との接続利便が悪化、東京や仙台での滞在可能時間が大幅に短くなったうえに(下表参照)八戸駅乗換改札口も廃止されて乗換移動距離と時間も増え、切符を買い直す手間なども生じるようになりました。この問題は地元市議会でも問題になり、三沢市として青い森鉄道へ改善要望する事態となりました。

 続いて長野県小諸市のケースです。小諸市は軽井沢の西約22kmに位置する人口4万4千人の街で、平成9年の長野新幹線の開業によって、それまで特急が停車していた小諸駅は第三セクターのしなの鉄道に経営分離されました。その後平成20年のダイヤ改正で、新幹線と接続する軽井沢駅や上田駅での乗り継ぎが悪化、三沢市と同じく東京滞在時間も短くなったことから、小諸市など沿線市町・商工団体により「しなの鉄道活性化協議会」を設立、地元負担金と国の補助金による実証実験としてようやく12月のダイヤ改正から軽井沢駅での新幹線最終便の接続を復活させました。

 このように、2次交通(在来線鉄道やバス・タクシー)の利便維持確保は、新幹線駅から18km離れた函館市において、整備新幹線が法律にうたう「国民経済の発展及び国民生活領域の拡大並びに地域の振興に資する」という目的を達成させるためにも、何より重要なことといえるのです。


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